Remy Martin Louis XIII

[ 72万円のブランデー、アサヒビールが限定十本発売 ]
アサヒビールがコニャックのレミーマルタン・ルイ13世(700ml)に1.3カラットのダイヤモンドをあしらったスペシャルボトルを720,000円で10本限定で売り出すというニュース。ダイヤは琥珀色で、栓の真ん中に配されている。また0.1カラットのダイヤ5個をあしらった50mlの小瓶を50本限定140,000円で売り出す。
僕個人としてはこういうものにはまったく興味がない(酒の質とは関係ないからねぇ・・・)のですが、元になっているノーマルな瓶、700ml なら160,000(輸入物で大体90,000)円、50ml なら25,000円というあたりのもの。ダイヤの値段以外にも少々つみあがっているものがありそうだけど(笑)。
話題づくり、需要の掘り起こし、などという言葉が並ぶが、本当にそういうものなのだろうか?という疑問もわく。
飛ぶように、というわけでもないが、消費の現場にいるものとしては、今は樽買い業者によるボトリングもののウイスキー、特にシングルモルトが中心で、ブランデーの高級品はいかにも旗色が悪い。
日本の酒造メーカーが、スコットランドの蒸留所を買い取るというニュースも、いまいち首を傾げなければならない部分は多い。正規品自体は微妙な目線で見られている場合もある。曰く、某社に買い取られてから味が落ちた、薄くなった、イメージが悪い等。
日本のなかでの反応でしかないかもしれないが、日本のメーカーにしてみれば、重要な市場の反応だと思うのだが。
まあ、なにはともあれ、10本、全部売れるといいですね。売れるとは思いますけど。飾り物として。
あ、ルイ13世はすごい酒ですよ。
それこそ、レミーの100年ものの樽から汲み出したカスクトレンクスだったら、700mlで500,000でも売れるだろうし、僕も欲しいかもな・・・(笑)。

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日比谷で会いましょう。

[ 日比谷bar ]
酒飲みというか、バーで暮らしているような人に言うと「エーッ」とかいきなりダメ出しされたりするのだけど、あんがい「日比谷バー」が好きだ。
日比谷バーそのものは老舗だし、○○というバーテンダーは悪くないと思うけど、というのがダメ出しする人のフォローなわけだけど。
バーには、そのバーそのものが持つ特色というか良さがあると思っている。
もちろんガチンコのカクテル勝負みたいな一杯一杯を楽しむという方法の店もあるし、「なんかドヒェーって感じのカクテル作って」「あー、ハイィ」みたいなわけのわからんノリの店もある。それでも後者のカクテルがうまいと思うなら、それはいい店だろうし、人の評価じゃないんだ、ということ。
そういう意味で、日比谷バーの良さは、何よりもやはり「気軽さ」に尽きると思う。都内を中心に二十数軒もあるが、そのほとんどが席数30~40、中には100を超える店もある「大箱」だ。カウンターもあるが、やはり4人くらいの人数でも押しかけることが出来るバーというのは、貴重だと思う。
数ヶ月前も、銀座のホテルで結婚式と披露宴を挙げた友人夫婦の二次会三次会(ごくごく近しい友人だけのものだったけど)をその場で仕切らされたときも、行き着いたのは(三次会、6人くらいだった)日比谷バーだった。僕の影響か(?)、バーの類にもときどき行くようになった友人夫婦の新婦のほうは、日比谷バーの気軽な雰囲気を気に入り、その後友人との食事の後などにたびたび利用しているようだ。
私も、いつもの連れと先日銀座に繰り出した(死語)ときも、大晦日前日ということで目ぼしい店は休みに入っていて、どの小路を入っても煌々と灯りを点けている看板は日比谷バーのもので(笑)、結局日比谷バーを二軒ハシゴするという暴挙にも出たものだ。
まあ、どこでもいいやという気持ちで入った店への評価は大概厳しくなりがちなので、そういう時は勝手知ったる店に入るほうがいい。そういう意味で、日比谷バーほど良いところはない。
適度な酒を、適度に気軽く、適度に楽しみながら飲める場所、というべきか。なんにせよ、困ったときは日比谷バーかも。
追記:というつもりで入った某所の日比谷バーは店中合コンの大学生たちの嬌声で溢れ返っており、辟易しつつ1杯だけ飲んで帰ったりしたこともある。店員も申し訳なさそうな顔をしていた。そんなことも、ときどきあり(笑)。

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しゅぷ~る

高円寺(というか東高円寺)に、昔「しゅぷ~る」という居酒屋があった。
そのころ僕は1年目か2年目の若々しい未来に光り溢れる会社員であり、日々仕事の話や会社の話、あるいは気になる婦女子の話やなんやかんやについて、居酒屋で飲んでは食べ、激論を交わしては同僚と親交を暖めていたものだ(一部曲解あり)。
「しゅぷ~る」はその舞台にしばしばなった。同僚同士、あるいは協力している会社の人々と、あるいは友人と、そこに訪れ、なかなか美味い料理を食べ、ママさん手作りのすだちサワーを飲んだのだ。
マスターとママさんの夫婦は当時たぶんまだ若く、20代後半か30代半ばくらいまでの年頃だったのではないかと思う。
ママさんはたいそう美人で、美人というか雰囲気の良いお嬢さんがそのまま歳を重ねてきたんだなぁ、という感じで、多少スッとぼけた天然ではあったものの、客たちの評判もすこぶるよかった。
一度ならぬことだが、グラスが空いたのでママさんを呼び「すだちサワー、濃い目でね。」などよく頼んだものだ。ハイ!と答えてカウンターに入るものの、再びこちらの席まで戻ってきて「あの、濃い目って、何が濃いのがいいんでしょう?」と聞いてくる。「そこはそれ、思うが侭に濃くしてくださいよ。」と答えると、ハァとか言いつつ首をかしげ戻っていく。まあ普通濃い目といえば、酒が濃いかジュース分が濃いか、どっちかだろう。
しかし、ママさんは両方濃くしてきたのだ。焼酎は濃いはすだちはすっぱいは、チェイサーに炭酸ラッパ飲みしないとやっていられないくらい。
マスターの料理は本当に美味くて、ざっかない家庭料理に毛が生えたようなものでしかなかったが、一つ一つがわかりやすくきちんと味付けしてあって、食べて文句がでる料理はひとつもなかった。そういえば、まだそれほど流行ってもいなかった「豆腐チャンプルー」を初めて食べたのも、マスターのものではなかったか。
気のよさそうな笑顔で、いつも厨房の奥で笑って「まいどー」と叫んでいた。
そんな「しゅぷ~る」も今は無く、二人目の子供が生まれ、上の子が小学校にはいるころに、店を閉めステーキハウスに衣替えした。マスターとして店にはりついていなくてもよく、学校で子供が飲み屋の子と言われるよりはステーキ屋の子といわれるほうが良いと思ったとかなんとか。
人の人生はいろいろだなぁ、とか光り輝く未来を胸に抱いていた僕としては、思ったりもした(一部曲解あり)。
なんとなく、今でも「居酒屋」と聞くと「しゅぷ~る」を基準に考えてしまう。無いものねだりというヤツだなぁ、とか。

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雪の降る街を

あまりたくさん飲むつもりはなかったので、きりっと終わらせられる組み合わせにしようと思って、最初はラフロイグ、それからポートエレンの24年を飲んだ。
ラフロイグが喉を洗いきるころには、僕はもう椅子に一体化しはじめていたし(苦笑)、この店があと十数日で閉店するかと思うともったいないというか、そういう気分にもなろう。
開店間もないうちから、新宿界隈で驚くべき度合いで名が広まった稀有なバーであり、[ 枝川公一氏の「新・東京のBar」 ]の第一章を飾った店でもある。
それらはすべて、マスターのこれまで築き上げてきた信用や交友関係のなせる業だったし、誰もが納得できる品ぞろい、サービス、インテリア、雰囲気といったものが呼び込んだ「客」としての評判のようなものだ。
そして、マスターは新しい挑戦を選ぶという。
今の場所からは程近い、数倍も広いという箱に移転することにしたという。現在の店と同じインテリアワークを行った美術スタッフを起用し、イメージはそのままに、さらにシックなくつろぎの空間を造るという。
今さびしくもあり、これからが楽しみでもある。
いつもアイレイですね。
とマスターは声をかけてきた。
アイレイに限らず、なんでも飲みますけどね。
それから共通の友人の話をして、とあるジャパニーズウイスキーの話をして、新しい店にも行くことを約束した。
妙にいろいろあった週の終わりだったけどこういうシメなら、まだいいほうかと思いつつ、帰った。

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泡盛の“ソムリエ”初認定へ。

[ 泡盛の“ソムリエ”初認定へ、150人が猛勉強 ]
泡盛の“ソムリエ”認定試験、実施しているのは那覇市の市民団体「泡盛マイスター協会」だそうです。マイスターというドイツ語、ソムリエというフランス語に、ちょっと違和感を覚えなくもないですが(汗)。
古酒(クースー)も含めると、我々内地の人間が味わうことの出来ない本当の意味での「地酒」がまだまだ何十種類あるとも云われる泡盛。こうして表現系とでもいうべき新しい施策と融合することで、親しみやすさも沸くかもしれませんね。
斯く云う私も泡盛の美味さに気づくことが出来たのは、ほんの数年前。「ちゅらさんの島」で有名な小浜島が故郷である友人が、里帰りの際に持ってきてくれた「ウチではこれしか飲んでないから」という泡盛。今では泡盛としては有名な部類に入っている銘柄で、友人の実家がやっている民宿の何周年かの記念に絵心のある家族が書いたラベルを貼って、泊り客に振舞っていたものの1本でした。
以前に飲んだことのある記憶と同じあの独特の匂い、あるいは臭み、と言ってもいいかもしれない麹の香りが、その泡盛には不思議と嫌な感じがせず(香りはしたけど)逆にその香りの奥にある複雑な米の旨みがふわりと喉の奥から立ち昇り、はなはだ感動したものです。
ただ強い酒というイメージを持っている人もいるでしょうが、古酒を一度やったら忘れられなくなります。たぶん(笑)。
ああ、やっぱりこういうこと書いてると飲みたくなるなぁ・・・。

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とりあえず。

案外よく聞かれるのが、リッキーとバックとトニックの違い。それは僕が、バーに入ると「とりあえず、ジン・リッキー。いやまて、ちょっと糖分がほしいからバックにするか。」とか言うからだ。
メニューには(あれば、だけど)、ジン・リッキー、ジン・バック、ジン・トニックとだけしか書いてないし、下手をすると作っているところを見てもわかんないとか、同じように作ってないか?と思われるバーテンダーもいなくもないけど(笑)。
別にジンに限らず、ラム、ウイスキー、テキーラ、ウオッカそれぞれでやってもらってもぜんぜん構わないし、普通のバーテンダーなら通じる。ex.ラム・バック、テキーラ・リッキー、ウオッカトニック
バックは[ Buck ]のことで、牡鹿、威勢のいい男の意味。ジンジャエールのさわやかで甘い口当たりの割に、よく効くということ。レモンジュースを加えるのが基本だけど、ウィルキンソンのジンジャエールとライムを使うのが別な意味でキックが強くて好き。というか、それでベースをウオッカにすると、それはそれでモスコーミュールになるわけだけれど。
リッキーは、ジン・リッキーを最初にオーダーした(と言われている)ジム・リッキー氏から。19世紀末のワシントンで生まれた。ライムを大量に絞ってソーダ(クラブソーダのこと。糖分を含まない炭酸水。)で割る。この手のロングドリンクの中では甘味がもっとも無い(というかライムに含まれる果糖くらい)。
昔、「ギムレット・ソーダ、砂糖抜きでタンブラーに入れて頂戴」といったら、バーテンダー氏はまったく何気なく作り始めて、ソーダを入れる段になって「って、ジン・リッキーって言ってくださいよ!」と当時としては珍しいノリツッコミを見せてくれた。
トニックは名前のとおり、トニックウォーターを使う。
トニックウォーターはイギリス発祥の甘味炭酸水で、[ キナノキ(和名) ]の樹皮エキス=キニーネを加えてあるのが特徴、もともとは抗マラリア薬として植民地で飲用された。現在のトニックウォーターは、味を真似たものでキニーネは入っていない。レモンやライムを絞らないのがもともとのレシピだが、現在のレシピの多くはレモンを絞る事が多い。現在のトニックウォーターが、複雑味に乏しいものであるからだと思われる。
って、こういうのを書いていると、飲みたくなるんだよなぁ・・・。

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