純粋

僕は発泡酒もよく飲みます。というか、毎日のように夕食の供になるのは発泡酒です。
発泡酒を忌み嫌う人の、その理由がよくわかりません。「まずいから」と言うのです。発泡酒、まずいですか?じゃあ、普段お飲みになっている「ビール」の6~7割は「まずい」です。
「ビール」というのは大麦を煮出して醗酵させ、ホップを加えて香りと味をつけたものを言います。1516年にドイツ・バイエルンの領主ウィルヘルム四世が「大麦とホップと水以外(実際には酵母も含まれる)を使ってはいけない」とビール純粋令を発布したことから、以来ドイツにおいては「ビール」というものは必ずこれに従わなければならないよう定められています。
ドイツの純粋令から見れば麦の代わりに、米、コーンスターチなどの原料を用いる日本やアメリカのビールはビールではない、ということになります。
ではなんでしょう?日本的に見ればそれは「発泡酒」なのではないでしょうか。
麦を66.7%以上使用していれば日本では「ビール」と判別されます。つまり、発泡酒ではない、と。
では、66.7%の麦を使ったビールと、66.6%の麦を使った発泡酒に、どれだけの味の差があるのでしょう?
かつては「麦の量を66.6%(つまり3分の2)以下にすると、もはや麦の味が出ないから、ビールと呼べないかもしれない。消費者も買ってくれないかもしれない。」という基準で決められたものだったのでしょう。
しかし、ある意味での企業努力のおかげで3分の2以下の麦の量でもある程度の味が出せるようになり、ドライと称した如何わしい「ビールと呼べないもの」が「ビール」として売れることに気付いたこれもまたある意味での企業努力のおかげでビールと発泡酒の味の上での境目があいまいになったことで、発泡酒と呼ばれるビールのようなものが発売されるのに至ったわけです。
日本の酒税法に関わる現実は、ある意味、消費者の目を曇らせているのかもしれません。「本当のビール」とはやはり、大麦とホップ、水と酵母だけで作られているものを指し、それ以外のものもビールと呼びたいのであれば、その「それ以外」のうちのさらに「それ以外」と分けるのは愚の骨頂・・・なのではないでしょうか。
日本の酒税法のとんちんかんぶりはこれに限ったことでもないので、いずれまたネタにすることがあると思います(笑)。

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