ケータイ

日本における携帯のドラスティックな未来性について深い関心をもっている私としては、KDDI(au)の発表は、非常に興味深い。
日本の携帯電話市場は特殊で、キャリア(通信事業者)が市場を完全にコントロールしている。欧州やアジアでは、基本的にメーカー(機器製造者)が主導権を握っているため、通信方法はほぼ一つで、ユーザーは好きな携帯電話を自由に購入して利用できる。
たとえば日本では、新しい端末に代えるとなると、ショップへ行き、新しい端末を購入して、ショップ内に設置してある機器で番号の移し変えを行う。以前の端末はつかえなくなるのが当然だ。
しかし、たとえばアジア全域で通用しているGSM形式の携帯電話の場合、内部に格納されているSIMカード(小指の先大のICチップの埋め込まれたカード)を載せかえるだけで、別の端末に自分の電話番号と電話帳が移動する。新しい端末と以前の端末のどちらにSIMカードを載せても使える。以前の端末を捨てる必要はないのだ。たとえば、ビジネス用とカジュアル用の二つの端末を買い、同じ番号で使うこともできるのだ。
このような合理的なシステムが日本に導入されなかったのは、明らかに大手の電話会社がつくったキャリアの意力が働いている。
日本では、キャリアは自ら今後主軸としたい付帯機能のガイドラインを提示する。それに従う義務はメーカーにはないが、その半年毎に出てくるガイドラインに合ったものでないと、キャリアのカタログの最初のページは載らないから、メーカーは自ずとキャリアの言うことを聞かなければならなくなる寸法だ。事実、メーカー側の意見として「変わったものをつくりたいが、売れないのでつくれない」という発言も出ている。
ノキアやエリクソン、モトローラといった世界的携帯メーカーが日本で売れないのは、この日本独自のキャリア主導の閉鎖的な世界があるからだ。ノキアやエリクソンは欧州やアジアで売っているものをそのまま日本で売りたい(あたりまえだ、工場の効率から見ればそのほうがいい)が、通信方式が違う上、横並びの機能がついてないとちっとも売れない。たまにデザインが秀逸なものを出して一部のマニアに売れたとしても、結局は一部だ。収益はあがらず、その後につなげることが出来ない。
そんな現状の中、相変わらずキャリア主導ではあるものの、KDDI(au)の新しいアプローチは非常に興味深い。
ともすると機能一辺倒でデザイン性に乏しい日本のメーカーの端末群のなか、これまでも主にソニーエリクソンや京セラなどとキラリとセンスの光る端末を作ってきたauだが、更に一歩踏み出した形で今回のリリースとなったようだ。
携帯にカメラが必要か?といいたげなキャンペーンをしているキャリアもいるし、もともと某最大手もカメラ搭載そのものには否定的だった。
つまり横並びの機能一辺倒を終わらせようとしているキャリアもいるわけで、ユーザーはこれから選択肢に特性を見出すことができるようになるだろう。
この調子で新しいデザインにKDDI(au)が挑戦していくなら、乗り換えてもいいな(笑)、個人的には。

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