ド疲れた

おととい、買ってはあったけど読まず(読めず)にいた須藤真澄の「長い長いさんぽ」を読んだ。
今、これを書くためにその時のことを思い出そうとするだけで、すでに涙が出そうになる。
「長い長いさんぽ」は、漫画家須藤真澄の飼い猫「ゆず」が他界する数年間の間に発表された漫画作品を、集めて綴じられたものだ。これまで93年発刊「ゆず」などで知られていた飼い猫「ゆず」の死の際のその須藤真澄の心情を露わにするこれは、つまり猫と暮らすものが必ず感じる「遅すぎる」という思いが、まさに具現されている。
人のでさえ、命あるものの生き死にについてなるべく疎遠でありたいと思う僕であっても、やがて訪れるであろうわが身とわが身の回りの生き死にに、それであってもなるべく平素として対峙したいと願っている。だから僕は、もう一度この本のページをめくることはできないかもしれない。
それから、長年に渡って続いてきた王欣太の「蒼天航路」が、前代未聞の単行本2巻同時発売で完結となった。当然、読者は(僕のように単行本だけで読んでいるものは特に)この怒涛の最終幕を、2巻続けて読む羽目になる。
毒気のある漫画は当然、読み手に毒を送りこむが、この漫画は毒気というより体力が間に介在する漫画な気がする。たぶん書いてるほうも書き終わると疲労困憊なのではないかと思うのだが、それを読んでるこちらもやたらに疲れる。読み疲れというより、頭で理解するために体力を消耗しているという感じだ。
当然、ラストなんて濃いも濃い、特濃のあたりを2巻も続けて読まされるわけだから、こちらの体力も激しく消耗した。特に前段の「長い長いさんぽ」の疲れからまだ回復しきっていなかった僕としては、もうどうにもこうにも、という状態だ。
なので、もう何かまとめの言葉もかけない。ということにしておく。
そして、当分、漫画が読めないかもしれない。ということにしておく。