Bye-Bye bartender.

青森から出てきて3年。1年目のまだ何から仕事すればいいのかわからず、右往左往しているようなころから知っているバーテンダーが、田舎に帰るため今月で辞める、ということだった。
最近じゃ、もうすっかり仕事にも慣れ、オーナーとチーフの直下、No.2のポジションで一日中カウンターを担当する身分にもなっていた。
作るカクテルは少々甘めになる癖はあるものの、しぐさや受け答えもずいぶんとさまになってきた頃だったが、辞めるとなれば残念だが、仕方もない。
女性バーテンダーは近頃ではさほど珍しくもなかったが、この店はオーナー以下全員が女性で、一番最初に巣立った弟子も業界で注目を浴びるバーテンダーであるほどに、それを追いかけなければならない後進達もプレッシャーはひとしおだったろう。
辞めていく理由はそれぞれだし、女性バーテンダーに限らず男性バーテンダーも辞めていくヤツは辞めていくものだ。
あんまり辞めていく理由にこだわったり、惜しんでみても意味がない。やれ残念だな、と声をかけてやるのが一番だ。また別のところで、別の仕事でもがんばれよ、と。
僕はせいぜい別れを惜しみつつ餞に、この日二杯目のギムレットを作ってもらうことくらいしかできない。
さよならも言わずに店を出た。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です