EXMACHINA

士郎正宗によるコミック界の金字塔APPLESEEDの映画化、第二段。
前作同様士郎正宗による関与はアイデア等に限定されるような感じだけど、今回のはかなりツクリが良くなったというか、高度になったというのが全体に対するワタシの評価です。
士郎正宗原作のアニメ、映画化というのは多いけど、そのどれもが士郎正宗は積極的に関与しない形で作られていて、士郎正宗のファンである当初からのファンは、たぶん「士郎正宗が中心にいない○○○○(APPLESEEDでも攻殻機動隊でも)なんて・・・」と思うものだろう。積極的に関与しない理由はいろいろあるだろう。だが、ここに来てようやく士郎正宗が作ったのではない士郎正宗漫画が、形になってきたという感じがする。APPLESEEDでいえば、このEXMACHINAなのではないかと思う。
前作映画「APPLESEED」はやや「CGアニメっぽすぎ」感があって、ちょっと僕にはなじめなかったのだけど、その点が今回ではかなり緩和されていたと思う。CGを使う現代のアニメでは、CGっぽくするか、アニメっぽくするか、あるいは融合点をみつけるか、みたいな境界線の探索が行われているが、EXMACHINAではCGでアニメというものを追求した中で、その王道としての中心線を轟々と進んでいるようだ。
ストーリーはやや王道すぎるというか、わかり安すぎるのが難点で、士郎正宗ではありえないような恋愛沙汰が展開されるあたりは好みが分かれるところだとは思う。今回はジョン・ウーなどの映画畑の力線が働いているのか、かなり「映画的」な話の流れは、特に士郎正宗を意識しない人には受けるものだと思う。
映画館に向かう途中、ブリスターパックのフィギュアを見せ合っているオタク然とした青年二人を見かけて、ああいう彼らはEXMACHINAに「萌え」たりしないのだろうなと思った。実際、映画館ではシネコンの小さな150席の部屋でさえ、20人ほどしか席を埋められなかった。初日の第一回目の上演である。12時からの。
この80年代の漫画に端を発するCGアニメ映画は、マンガ/アニメというオタク文化からは一般作品とみられ、一般映画という文化からはオタク文化の一端と見られ、どちらからも敬遠されているのだなと思う。
残念ではある。

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