誰が為に鐘は鳴る。

[ ITプロフェッショナルはなぜ耐える ]
記者は「相も変わらず」と思うかもしれないが、現場では「どこも変わらず」と思う。
それよりも僕は、次の一文に背筋を寒くする。
結局この“対価の大原則”が揺らがないために,「落ちてくる仕事をしっかりこなす」ことに徹するプロであろうとしているITプロフェッショナルは,“正しくない”評価に耐え続けるしかないのだろう。人月単価は今後下がることはあっても,上がることは望めまい。そしてITプロフェッショナル個人としては年齢を重ねるほどに,「同じ職種で過去にその年齢層だった先輩」よりも低い報酬しか得られないことが,当然となっていく。
そんなことはわかっている。わかっているけど、こうして文字にして読むと、なんと寒々しい文章なんだろう。そう思う。
実際に僕の会社の先輩のこと。彼は大卒で、僕は専門学校卒という基本的な違いはあるものの、彼が30歳のとき昇給後の給与明細を見て「うわぁ、俺もやっと大台にのったなぁ」と言った。僕は30を過ぎたとき、何度自分の給与明細を見ても「大台」という実感も実数も生み出すことができなかった。
彼の言った大台が、どんなものなのか理解できない。それは僕がひねくれているのか、それとも実際に大台というものがあるのに、僕はそこに到達できていないのか。
最後の段でも言うように、業界で生き残るためには「仕事を作る」領域にいるほうが安全で確実で儲かると思われている。が、ここにも矛盾は隠されており、本質的な解決にはなっていない、ということに、多くの経営者とITマネージャたちが気づいていない。
金も儲からない。満足する評価も得られない。やりがいもない。
ITプロフェッショナルに与えられる仕事とは今、本質的にそういうものだ。