My Sweet Home.

人によってはあまり良い気持ちがしないものなのかもしれないなぁ、なんて思うこともあるんですが、バーによっては客の出入りの挨拶が「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」ではないところもあります。
まいど」(一見でも)「またね」という砕けた挨拶をするところもあったし、「こんばんわ」「おやすみなさい」と、女の子になら言われてもいいのに、というようなことを言う(男性バーテンダーの)店もあったし、入ったときに「おかえりなさいませ」、出るときに「いってらっしゃいませ」という店もあった。
おまちしておりました」と必ず言う(笑)ところもあったが、それはそれなりに悪くはないと思う。
結局のところ、言葉の意味とかそのものよりも、込められている思いとかそういう部分が大事、なんて臭いかも(笑)。とはいえ、事実。
事実としてみても、客の来店は店の収入に直結しているわけだし、複雑な原価構造を持たない多くの個人経営的飲食店の場合、特にそれは顕著なわけで。まして現金で支払いを済ませてくれたことは、その事実にさらに暗証を与えることだ。
感謝の言葉や再利用の約束も心を込めて言わなければ、仁義に悖るだけでなく、サービス業という職業の原点の問題でもある。ちょっとくらい本気で挨拶してほしい。
これも人それぞれだとは思うが、僕にとっての(いきつけの)バーは、それそのものが僕の私室のひとつであり、我が家の一部に他ならない。僕のように生まれた町を捨てて無駄にでかい都市に住まう、ある意味での「ホームレス」にとって、心の落ち着く場所、気が置けない場所、かつて昭和の頃、サラリーマンのお父さんが毎日の疲れを癒すように、妻のきんぴらごぼうをつまみ、キリンビールをぐいっと飲んでいた、あの食卓の上座においた座椅子のような場所なのだ。(長いな)
その気安さと慈しみの居場所という役目の割りに、存外に費用がかかるのが玉に瑕なのだけれど。

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